2015年10月19日 中国の牛さんは、本来一農家さんで1~2頭ずつ、農耕・肥料取り・子牛生産・最後にお肉にするために飼育されていますから、日本の農場のように病気が流行するということは少ないのです。 ところが、日本式に牛舎に多くの頭数を集めて飼育すると、やはり下痢や肺炎が発生します。しかし、以前にもお話ししたように、薬をあまり使われていない牛さんたちですから、治療すると意外に早く治りますし、真冬でも4ヶ月齢以降はカーテンなどをつけず吹きっさらしにすることで肺炎発生も極端に減少しました。やはり、第一胃が発達した後は、良質な粗飼料を適正な配合飼料と組み合わせて第一胃の発酵熱を保っておいてあげると、体内に巨大ホッカイロを入れているのと同じですし、体温が高ければ活性の増す「腸管免疫機構」もよく働いてくれるようです。それに、吹きっさらしの方が、病原体が停留しないのもメリットだと感じています。 逆にコントロールが難しいのが、食餌性蹄葉炎などの慢性ルーメンアシドーシスなどの代謝病です。これは、日本なら系統や牛さんのタイプで、第一胃発酵の際に、飼料の「酸(VFA)産生速度」と「酸吸収速度」の釣り合いを取りやすいのですが、中国の牛は大半が雑種で、しかも特徴がつかみにくい(僕の能力が低いだけですが...)のが原因です。蹄の伸びの早さなどを見てはいるのですが、きちんと指導したとおりの削蹄はなかなかできませんし..(このお話は別のところでしましょう)。 それから、僕が指導する農場ではなぜか指導1年程度から2年目にかけて「骨軟症」が出てきますが、これは中国でも同じでした。おそらくは、軟骨面積と増体重のアンバランスが原因だと思うのですが、3年目くらいから骨軟症は出にくくなります。一応、導入時の措置や日本ではドン八ヶ岳の定期給与を実施するからだと思っていたのですが、中国では、ドン八ヶ岳(ゼノアック)のような優秀な亜鉛製剤がなく、組み合わせでしのいでいます。 あと、和牛(特に但馬系で)多く見られる脂肪壊死に、これまで3回遭遇しました。あちらの獣医師にまとめさせようと思っているのですが、あまり熱心でないようですorz。 前の記事 中国牧場奮闘記 その20 ~うそでしょっっ!~ | 次の記事 中国牧場奮闘記 その22~中国での失敗例に学ぶ~ |