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佐々隆文のコラム
「第23回 「精液の注入部位」」

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2007年2月26日

 次は精液の注入です。精液注入部位には基本的に①外口部注入(外子宮口より1〜2cm頸管内へ挿入して注入する方法)、②子宮頚管深部注入(内子宮口付近、第四襞の手前まで挿入して注入する方法)、③子宮体内注入(注入器先端を子宮体にわずかにのぞく程度に挿入して注入する方法)の3種類があり、①の外口部注入受胎率が②と③と比べて低くなるので、現在あまり行われていないと思います。②と③では0.5mlのストローの場合は受胎率にあまり差はないと言われています(0.25mlのストローでは③の子宮体内注入の方が少し受胎率が高いそうです。)
 現場の先生方の話をお聞きしていると、精液の注入部位は子宮体内注入がほとんどですが、注入方法はさまざまです。子宮体に注入器の先端が出たらそのまま注入する先生もいれば、子宮体の位置で若干主席卵胞側に向ける先生もいます。さらに、主席卵胞側の子宮角の方まで挿入する方が受胎率が上がると言う先生や、子宮体部で精液の半分を注入後、残りの半分を主席卵胞の存在する子宮角の方に注入する先生もいるようです。
 どれが一番良いとは断言はできませんが、僕の個人的な意見としては、子宮体部で注入するか、もしくはやや主席卵胞側に向ける程度で注入する方法が良いと思います。理由としては子宮角まで持っていけば、もし自分が主席卵胞だと思っていた側ではない、反対側の卵巣の卵胞が排卵する可能性があること。また奥の方まで挿入することで、出血および感染のリスクを増やしてします事を考えると子宮体部で注入することをお勧めできるかもしれません。
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