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蓮沼浩のコラム
「第243話 「血便 その7」」

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2011年9月1日

 前回までは主に肥育牛の血便について書いてみましたが、今回からは仔牛の血便について述べてみようと思います。多くの農家さんと獣医さんの中には相当仔牛の血便に苦労された方もいるのではないでしょうか。とにかく小生が一番嫌いな血便は「偽膜性壊死性出血性腸炎(ぎまくせいえしせいしゅっけつせいちょうえん)」というなんだか長い名前の血便です。普通は「偽膜性腸炎」などといいます。この血便はやはり病原性の強いコクシジウムがスタートの原因となります。診療に行くと仔牛が尻尾をあげてイキんでいます。しかし、便がなかなか出てこないでやっとのことで血の汁が出てくるという状態。いや〜な予感がしながら診療開始。とにかく治りが悪く点滴やらクスリを飲ましたりやらととにかく大変。時々肛門から偽膜という腸のかさぶたのようなものが出てきます。そしてすぐに治ってくれればいいのですが一向によくなる気配もなく治療は長期戦にもつれ込み仔牛はガリガリ。仔牛も農家さんも獣医さんも非常に疲れる嫌な病気です。昔はこの病気に本当に本当に苦労させられました。

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