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数面麻子のコラム
第24話:寄生虫の話㉑

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2014年2月22日

 今回は小型ピロプラズマであるタイレリアの生活環をみてみましょう。タイレリアも同じくフタトゲチマダニによって媒介されるのですが、マダニ体内での発育様式がバベシアと少し違っています。ダニの吸血によりダニ体内に侵入した後、タイレリアの場合はその後ダニの卵巣へは移行せず、そのダニが成長して再び吸血を行うようになるまでダニの唾液腺細胞の中で感染性を持たない形態で待機し、吸血が開始されると同時に感染性を持ったスポロゾイトという形となって次の牛さんへ感染するのです。ちなみに、マダニは幼ダニ、若ダニ、成ダニと成長する各段階で吸血を行うため動物に寄生し、吸血が終わると今度は脱皮をするために動物から脱落して土壌で生活します。
 赤血球内に寄生したバベシア、タイレリアの感染症状は両者ともに貧血なのですが、バベシアは血管内での赤血球の破壊を起こすため、血色素尿症が見られることもあります。

第24話:寄生虫の話㉑

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