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第14話:寄生虫の話⑪ |
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2013年11月30日
乳頭糞線虫の卵は牛さんの糞便中に排出された直後は他の線虫卵と同様に丸いものが卵の中にたくさん入ったような状態(桑実期卵)なのですが、糞便検査時にはたいていが第12話コラムに載せた写真のように、内部に幼虫を形成したものとなっています。
糞線虫の卵は体外に排出された後、数十分で幼虫を形成してしまうのです。その後6時間で孵化が始まり、25℃の環境下では3日で感染幼虫まで成長します。
感染幼虫は通常は経皮感染により牛さんの体内に侵入します。昔ある人から、「糞線虫の感染幼虫を手に乗せて顕微鏡で見てみると、あっという間に入っていく様子が分かるよ。」という話を聞いて、糞線虫類は皮膚から感染するということを忘れなくなりました。もちろん私は実際に見たことはありませんが。ちなみに牛さんの糞線虫と人の糞線虫は種類が違い(乳頭糞線虫:Strongyloides papillosus、人の糞線虫:S.stercoralis )、乳頭糞線虫が人に悪さをすることはないと考えられているため心配はいりません。
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