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池田哲平のコラム
「牛の解剖48: 第一胃(4) ~存在感をアピールするやつ~」

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2010年8月6日

 第一胃の粘膜面をよく見てみると、第一胃乳頭が全くない場所があることに気がつきます。それは筋柱が走っているところです。筋柱とは、第一胃を動かすための平滑筋が特に発達したもので、第一胃内に数本存在し、筋柱の収縮によって第一胃は蠕動を起こしています。食用肉の呼び名としては“ミノ”として皆さんにおなじみのものです。はっきりとした理由は分かっていないのですが、この筋柱部分には第一胃内全体に豊富に分布している第一胃乳頭が存在しないのです。
 また、第一胃の内側にしか存在しない筋柱ですが、外から見てもどこを走っているかはわかるのです。第一胃は別名“瘤胃”だと以前に紹介しましたが、第一胃をいくつかの区画に分けて瘤のように見せているものが、実は筋柱なのです。第一胃を外側から見たとき(体の外側から見ても分かりませんが…)、第一胃を区画分けしている縦・横・斜めの数本の溝状の構造がありますが、これらはその内側にある筋柱によって現れたものなのです。
 筋柱は、第一胃の内側でも外側でもとても存在感のあるやつなんですね。
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