|
第584話:BRDC病原体の検査について その10 |
コラム一覧に戻る
2019年9月12日
シェパードでは獣医師を募集しています
シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。
* * * * * * * * *
今回からコラムのおまけとして「もしかしたら1%ぐらい役にたつかもしれないけど、おそらく多くの人にとってどうでもよい動画」を毎週アップしていこうと思っています。画像や音声など、ド素人がつくっているものなので最悪だと思いますが、興味がある方は見てくださいね~~~~。動画はコラムの最後にあります。
マイコプラズマ・ボビライニスについても、小生実はあまり良くわかっていません。ボビライニスも乳房炎や肺炎をおこす起因菌といわれています。が、これまた現場では病原性がイマイチはっきりとわからないです。ディスパーと一緒で牛さんと共存しているように感じます。今回の試験では陽性率が83.3%でした。全体のデータでは52.1%と出ているので、今回採材した農場での陽性率は少し高いですね。ディスパーが100%だったので、何と83.3%がボビライニスとディスパーの混合感染。この結果が牛さんに対してどのような影響をおよぼしているかということに関しては、小生は良くわかりません。今後の研究に期待したいですね。
ディスパーやボビライニス。陽性率は高いけど、病原性は臨床現場ではイマイチよくわからない。誤解を与えるといけませんが、そこまで重要ではないのかもしれない。
しかし、マイコプラズマ・ボビスは別格です。陽性率は低くても、非常に病原性が高いマイコプラズマになります。今回の試験では20%、全体の結果では17.6%になります。ボビスが取れる農場は呼吸器病が多いです。小生は鼻腔スワブからのボビスの検査結果をそれこそ数えきれないくらいみてきました。陽性率が高いと確実に中耳炎や呼吸器病、そして最終的に肺炎が増えます。子牛だけでなく、もちろん搾乳牛でも大問題になっています。小生はどこの牧場でも、ずっとこのマイコプラズマ・ボビスと戦っているイメージしかありません。特に大型牧場ではこのマイコプラズマ・ボビスをいかにコントロールするかということが最重要ポイントになります。しかし、本当に対策が難しい強敵ですね・・・。
では、何故対策が難しいのか?
理由は沢山あると思いますが、やはり牛用のマイコプラズマ・ボビスに対するワクチンがないことが一番問題だと思います。アフリカ豚コレラもワクチンがないことからアジアで大問題になっているのです。
それにしても中国に続き、ベトナムでのアフリカ豚コレラの広がり方も凄まじいです。2019年8月27日までは2617件の発生だったものが、2019年9月5日で5941件って、わずか9日間で倍以上に増えているではないですか(農水省ホームページより)!この広がり方は・・・どう考えてもヤバイっしょ??おまけに海を渡ってフィリピンでも7件発生が確認されています。そして中国の豚肉価格が昨年から大きく値上がりしています。そりゃ、中国全土の豚の約1/3になる1億頭も1年間で死亡(CNN businessより)すればそうなりますよね。日本全国の豚の頭数が約900万頭ですよ。どう考えても、1億頭って洒落になっていないでしょ。
アフリカ豚コレラノ拡大、正ニ燎原ノ火ノ如シ
中国経済ノミナラズ世界経済ニ与エル影響、甚大ナル事想像ヲ絶スルモノナリ
閑話休題
今、子牛のマイコプラズマ性肺炎に対するワクチン開発が進んでいます。
「Mycoplasma bovis抗原封入カチオニックリポソーム点眼ワクチン」という、思わず舌を噛みそうな名前のワクチンの開発が日本で進んでいます。今でのワクチンとは少し違う大変興味深いものです。とにかく素晴らしいですね!近い将来の実用化を切に、切に、願わずにはいられません!
今週の動画「牛の保定法 1 restraint of cattle’s head 1」
前の記事 第583話:BRDC病原体の検査について その9 | 次の記事 第585話:BRDC病原体の検査について その11 |