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伏見康生のコラム
「NO.44: 「子牛用オーラルクロス(1)」」

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2009年6月10日

 現在、子牛用ハッチについて連載していますが、今回はちょっと割り込みで子牛用オーラルクロスの作り方と使用法について紹介したいと思います。
 オーラルクロスとは写真のような十字のパイプで、牛の口にはめて固形物を胃内へ強制投与するための道具です。ここでいう固形物とは磁石(パーネット)やルーメンファイブ、ホース(カテーテル)などです。千葉共済の先生が開発され(尊敬です!!)、かつては製品が販売されていたようですが、どうやら販売中止になり、もう手に入らないそうです。成牛用はルーメンファイブ専用投与器として明和産業さんから販売されていますが、子牛には大きすぎて使用できないため小さいものがないだろうかと掲示板上で話が持ちあがり、製作しました。
 用途は、子牛の第一胃内ガス除去(鼓張症)、第一胃洗浄、経口薬剤等の強制投与などです。これを用いると、簡単にカテーテルを胃に通すことができるため非常にラクチンです。蓮沼先生は上記の3つともホース単品で行うという男前な処置をされますが、安全に投与したいヒト、慣れないヒト、弱気なヒト、道具好きなヒト、にはオーラルクロスお勧めです!!!
 使用方法は文章で書くと長くなりますが簡単です!子牛の口角(唇の端っこ)から下顎角(下顎の骨が曲がっているところ)の長さをだいたい測ります。十字部分(以下、持ち手と呼びます)をスライドさせ口にくわえさせるパイプ部分をその長さよりも数センチ短めにします。(次回紹介する手作り式では固定されていますので長さは変えられません)子牛の口を開け、持ち手が口角に引っかかって止まるところまで挿入していきます。持ち手に紐などをかけて子牛の後頭部にまわして固定します。ちょうど良い長さのときはパイプの中から「コワァン・コワァン・・」みたいな響いた音が聞こえます。長いと時に嘔吐し、短いとうまく使用できません。あとはお好みの太さのカテーテルやホースをゆっくりパイプに入れていけば食道に入り、第一胃へと到達します。ガスがたまっていれば勢いよくばふっと抜け、投薬したければそこから流し込み放題です。ただしホースの全長が短いことによる誤嚥や無理な挿入による傷には注意です!
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